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2020-07-02

おしゃれな庭をデザインするために

新築を建てられた方や、建築設計会社様、在宅ワークになりお庭で優雅に過ごしたいと思い庭をリフォームしたいと考える方など、庭について考える方は様々です。また、その環境や、大きさ、保有の経緯なども、千差万別です。小さな庭、土の庭、ご両親より受け継いだ広い庭、傾斜のある庭など、さまざまな庭の顔。多種多様な人とおしゃれな庭との関わりに少しでもお役に立てればと思い、一級造園施工管理技士として情報を提供したいと思います。

まず初めにお伝えしたいのは、庭の設計・デザインについてです。どんなに良い材料や腕の良い職人に頼んでも、庭の設計・デザインが悪いとお金の無駄遣いになってしまいます。

そこで私が庭の設計・デザインで心掛けている3つの事をお伝えいたします。

良いものを真似ること

すべての事に共通して言えることですが、自分が良いと思った事を真似てみることが庭を設計・デザインするうえで重要だと思います。

良いものを見る目を養うという事が良い庭を造る事に直結していると思います。その良いものを目指して設計・デザインすればおのずと良いものが出来上がると思います。

良い庭を設計・デザインするために、まず自分が良いと思うものは何かを知る事を常に心がけています。これは、私のように造園を仕事とするものでなくとも、重要なポイントだと思います。

では、良いと思えるものはどういうものでしょうか。これから家族のために、自分のために、あるいはお客様のためになる、癒されたり、自然との触れ合いを楽しめる空間を一から想像するということは、かなり難しいことだと思います。

良いと思えるもの(庭)とは、見た目の派手さや、綺麗さだけではなく、人それぞれ心から自然と融合でき、共感できる空間そのものだと私は考えます。

そこで、われわれ庭づくりを生業とする者の出番となるわけです。お客様の獏とした庭造りの想い、イメージを豊富な経験と、良いものを見.分ける目で潜在ニーズを引き出し具現化することが、庭師の仕事です。

自然を見に行くこと

庭を造るうえで植物や石、木材など自然の物を扱って空間を演出すると思います。自然の物を自然の通りに扱う事が出来れば、きっとすばらしいものができあがると思います。

自然というのは長い年月をかけて出来上がった作品です。そこに人は感動をします。ですから美しい自然の景色を一部切り取ったところを庭に造る事が出来れば、きっと見ていて素晴らしい空間になります。

私たち庭師は日頃から自然を見ています。色々な庭を見ていると、不自然さが目にとまる事がよくあります。例えば、石を敷くとき、自然の石を加工してしまい、三角形や四角形の石になってしまった石などを見かけたときには残念だなと感じてしまう事がよくあります。

もちろん、真行草で言う真の場所では加工された石を使う事で場が締まって見えます。しかし、雑木の中の通路でそのような加工した石を使ってしまうとそこに作為性がでてしまい、非常に残念な空間となってしまいます。

無作為の作為を求めて庭を設計・デザインすることを心がければよい庭ができあがります。補足として、この自然を真似るというコツは洋風の庭には当てはまらないのでご注意ください。

シンメトリーが重要視される西洋の庭に自然さを求めてはいけません。あくまで日本の和モダンな庭、茶庭、雑木の庭にかぎっての話です。

自分の中でストーリーを造る事

庭の設計・デザインをする際にまずは現地を調査します。そこで道路の幅や埋設物、高さの設定などの制約をクリアにし、そこから図面を描くことになります。

新築の場合、まず家を考え、余った場所に庭を造るケースがここのところほとんどです。私が思うに、庭も家の一部なのだから家を建てると同時に我々庭師にも声をかけてほしいと思うことが多々あります。

そうすれば工程的にも自由な設計ができるからです。家を建てて狭い幅しかない通路の中に迫力のある大きい木をいれるとなるとお金がかかるだけでなく、良い庭の設計・デザインを断念せざる負えなくなります。

大抵のお庭屋さんは見積が無料なのだから家を建てる前から相談するべきです。

話は逸れましたが、本題として白紙の状態から庭を設計・デザインする際に私は物語を作るようにしています。小説のように、主役がいて、たくさんの登場人物を出現させ、話を充実させていく。

良い話であるほど、メッセージ性が明確にわかり、話が面白いように思います。庭を設計・デザインするうえでも同じことが言えます。主役は例えば1つの石であってもいいし、1本の木でも良し、庭に来る鳥でもいいわけです。そこから物語を作っていきます

鳥を主役にしたとして、鳥が好きな木の実を調べ、配植します。鳥の会話をイメージしながら例えば水場を作ってみたり。鳥が安心して過ごせる空間ってどんな空間なんだろう?などなど。

人間と鳥がお互い意識しながら過ごせる空間てどんな所だろう?そのような事を考えながら一枚の紙に向かいあっているとすぐに白紙が埋まっていきます。

物語を作った後は編集者に物語を編集してもらう事も必要だと思います。話がごちゃごちゃでまとまりのない庭になってしまう事をさけるため、あえて引き算をしてみたり。

この話は本当に必要かな?これがなくても話は成り立つな。などもう一度見つめ直してみて良ければ実際に図面を描いてみます。

私たちはある意味芸術家であり作家でもあると思います。大まかなストーリーを決めて、そのストーリーの表現を庭という一枚の紙に写す。素晴らしい仕事だなと日々思います。

以上の3点が私が庭の設計・デザインで心がけている事です。これは庭の事を考えるすべての人が実践できる事だと思います。皆様も自分だけのストーリーを自分の庭に表現してみてはいかがでしょうか?

そのために私たち庭師たちは多くの情報を持ち皆様に良いアドバイスができるよう日々勉強しています。今回は庭の設計・デザインについてご説明させて頂きました。

次回は庭というストーリーの中で見る細部の技術についてご説明させていただきます。

下記に私の考える鳥を主役とした庭のサンプル図面(平面図&パース)を載せておきます。御覧ください。

鳥を主役とした庭のイメージ図

 

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